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東横ポニーBayWinds監督・廣川のBlog

中学硬式野球の現場から見た少年野球に対する指導者の想いを綴っています。
​東横ポニーBayWindsは東京・横浜・川崎を中心として活動する中学硬式野球チームです。

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難しいからこそ「本気」で!


ここに掲載した2枚の写真。

どちらも練習時のミーティング風景ですが、左は昨年8月、右は今年3月のものです。


うちの代表からのチーム立ち上げの要請を頂き、私がそれをお引き受けした時に当時中学2年生だった選手5名が私の構想に賛同して、チームに加わってくれました。

当時私が選手たちに言っていた言葉は、


「『良いチームに入る』じゃない。『良いチームを自分たちの手で創る』のだ!」


と訴え続け、選手に対してオーナーシップを持って活動に取り組むことを求めました。ユニフォームのデザインも選手と意見交換を行い、昨秋の秋季大会辞退の決断も選手と議論を重ねて決断しました。体験生がくれば選手全員で歓迎し、雑用もみんなで分担。


「本気」「思いやり」を大切にチームは前に進んできました。


私は常日頃から選手にも保護者にも「野球は難しい競技」と伝えています。

野球の難しさを強調する言動は選手の興味を削ぎ、選手を野球から遠ざけるのではないか、という方もいますが私はそうは思いません。


例えば、何かの技術練習に取り組む選手が上手くできなかったとします。上手くいかなければ選手はがっかりします。保護者は不安になります。指導者は時に選手を叱責します。

この背景にあるのは「簡単なことなのに・・・」という固定的な観念があるからではないかと思っています。「野球は簡単」と言えば、とっつきやすいかのように感じますが、それは短期的な話であって、長期的に見ればそこが観念と実情の乖離を生んで、結果的に「簡単なことができない自分」という劣等感を生んで選手が競技から離れて行く原因になっているのではないかと考えました。ましてや野球は私の子ども時代よりも明らかに高度化しています。少年野球の現場で指導者の罵声が問題になることが多々ありますが、その指導者たちの子ども時代よりも明らかに野球は難しくなっていると思います。


選手は「野球は難しいから本気で取り組む」

保護者は「難しいことに挑戦する選手たちだから応援する」

指導者は「難しいことに挑戦する選手たちだから根気強く指導する」


ここを起点にすることが、選手・保護者・指導者の関係性を健全化し、選手のためのチームを創る方向に向かうのではないかと考えています。指導者の立場から見れば「選手は難しいことをやっているんだから」と思えば、グラウンドで起こることの大半は腹を立てることなんてありません。私は選手を叱る時もありますが、私が選手を叱る時は「本気」「思いやり」が足りないと感じた時だけです。


チームのガイドラインもこの思想から派生しています。

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Respect(敬意)

難しいことに挑戦する選手に対して敬意を払う

難しいことに挑戦する選手を支える保護者に対して感謝の気持ちを持つ


Refine(洗練)

難しいことに対して軽んじることなく真摯に取り組む

「誇り」を持って難しいことへの挑戦に取り組む


Rectitude(公正)

「難しいんだから失敗は恥ずかしくない」、だからこそ誤魔化さない

一緒に難しいことに挑戦する仲間に背かないためにも正々堂々と取り組む


Realize(実現)

難しいからこそ実現に向けて挑戦する価値がある

難しいことが実現することで真の喜びを味わう

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チーム結成以降、この部分をブレずにやってきました。


3月現在、チームは16名の選手で活動しています。当初の3倍です。


うちの選手たちは本当に仲が良いです。学年や野球の技量に関係なく、「自分にできる本気」で練習に取り組み、「思いやり」を持って上級生が下級生に教えたり練習を手伝ったりしてくれています。本気度の足りない、軽率なプレーに対しては厳しく指摘し合う側面も持っています。これはチームに「野球は難しい」という観念が根付きつつあるからこそ、「ちゃんとやろう!」という意識が強くなっているからだと思います。


「難しいからやめておく」ではなく、「難しいからこそ挑戦する価値がある」という発想の転換によって、一度は野球を辞めようとしていた選手も今では元気にみんなとプレーしています。これを支えているエネルギーは「本気」と「思いやり」です。


一度は野球を断念した選手、現在野球で行き詰まっている選手も、「簡単なことができなかった」という誤った劣等感を捨て、「難しいことに挑戦する自分に対する誇り」に発想を切り替えて「本気で」立ち向かって欲しいと思います。


もちろん「本気」「思いやり」を大事にしてくれる選手であれば、その選手の技量に関係なく、我々はその選手を「仲間」としてお迎えする用意があります!

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