下記は私が今のチームを設立する際に立てたコンセプトです。
現在のチーム運営はこのコンセプトに即して行なっています。
一番大切なことは「Visionの体現」、つまりBayWindsというチームをVisionで掲げたような場にすることです。(Visionに関する詳細はこちらをご参照ください。)
この場を目指す上での根幹は「Player's Future First」という思想です。
「Player's First」と「Player's "Future" First」
"Future"という言葉が間に入るだけでその概念は大きく異なると思います。
端的に表現すれば「Player's First=現在価値重視」「Player's Future First=将来価値重視」の違いがあるように思います。
現在価値を重視する場合には「時間軸に関係なく選手が喜ぶことをやる」というチーム運営になりますし、将来価値を重視する場合には「選手の財産として残るのは何か?」「選手が最も成長できるのはどんな方法か?」といった判断基準でチーム運営されます。
練習内容も異なるでしょう。
「選手の意思を尊重して、やりたいことをやりたいようにやらせる」に対して「選手の将来を見据えて、今やらせておくべきことをやる」の違いでしょうか?
「選手の意向優先」は民主的な印象を受けるでしょう。やりたいことを優先してくれるので選手は楽しいと感じる確率が高いです。指導者が叱ることもないでしょう。選手がストレスを感じる機会も少ないと予想されます。しかし子どもに判断させると短期的な快楽を優先しがちで、苦手を克服するような練習メニューは敬遠されやすいです。「トレーニングは嫌い」と言って、冬は練習に来ないかも知れません。野球は好きなことだけやって結果が出るほど甘くはありません。たとえ豪速球投手でも制球が悪ければ失点しますし、フィルディングや牽制球が苦手だとそこから攻略されます。
では「将来」はどうなるか?
「自己責任」です。「あなたたちが選んだことでしょ?」となります。
つまり「Player's First」で健全なチーム運営を実現するには、選手自身が高いレベルで「自己責任」を自覚して自立することが求められます。選手によって自立度合いが異なる(大人っぽい選手もいれば、幼い選手もいる)ため、チームを1つの方向性にまとめる難しさもあります。いや、1つにまとまるという概念自体が個別の選手利益に反する可能性もあるので、「チームワーク」といった概念は薄くなりがちです。
一方、「選手の将来価値重視」の場合、指導者に豊富な経験や高いスキルが求められます。指導者のスキルが低い場合、「君たちの将来のためを思って・・・」という言葉を使って指導者がやりたいことを選手に押し付けているだけ、という状態に陥る可能性もあります。指導者は自身の自己満足に陥らないよう、襟を正して物事に対して真摯に取り組み、研鑽を積むことが求められます。「将来のため」と主張するのであれば、指導者は自分の振る舞いや言動が選手の将来に影響する責任を自覚する必要があります。
また「Player's Future First」を重視するチーム運営を実現するには、選手と指導者の間に強い信頼関係が構築されることが成立要件になると思います。選手は勝手に指導者を信頼してくれるほど甘くありません。納得感を形成するコミュニケーション、努力が報われるような適切な指導や公正な評価など、信頼を獲得するために指導者も努力が必要でしょう。
つまり「Player's Firstで大変なのは選手」「Player's Future Firstで大変なのは指導者」という違いがあるように思います。
これは「どちらが正しいか?」という話ではありません。
現代では、恐らく大半のチームが何らかの形で「選手のため」と言っていると思いますし、指導者も頭ではそう思っていると思います。選ぶ側はチーム運営の思想が「現在価値優先or将来価値優先」のどちらなのか、そして思想と実態が伴っていることを何を根拠に判断するのか?
体験会などに参加する上で、そういった視点も必要なのではないかと思います。 これを「子どもの眼」だけで判断するのは難しいので、チームを選ぶ際には適度に保護者がサポートしてあげる必要があると思います。